エレベーター

1/1
前へ
/1ページ
次へ
 荻君は、町田市にある、投身自殺の名所として有名な団地に住んでいた。  怪奇現象の絶えない団地だった。  夕方、バイトに行くために、五階の自宅からエレベーターホールに向かうと、エレベーターの扉が自動的に開いた。ボタンには触っていない。  深夜、バイトから帰宅すると、一階に止まっていたエレベーターの扉が、やはり勝手に開いた。  そして勝手に五階に向かう。  ボタン類には一切触っていない。 「便利なエレベーターなんだ」  荻君はそう言っていた。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加