箱庭の世界

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 風邪を引いたときは、不安になる。だから、嫌な夢を見る。  そういって片付けられてしまうから、そういうものなんだと思うことにした。けど、熱に浮かされる度、そんなことないんだって叫びたくなる。  だって、恐怖の時間も頭痛は感じるし、掌で血流が加速してるのもわかる。喉は乾くし、目元は水で冷えていく。  私がおかしいわけじゃないのに、これは夢じゃない。そんな確信のある矛盾が、苦しかった。  心臓も痛くて、肺に呼吸が入らない。  無理に目を瞑ると、拒むように瞼が瞳を焼いて痛い。  けど、開ければ部屋がおかしくなる様を見せつけられる。  暑い、暑い、寒い、熱い。  嫌だ、嫌だ、嫌だ。  怖い、助けて、独りにしないで。  自分の声も聞こえない中、布団の中で泣いていた。
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