箱庭の世界

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 朝、目を覚ますと、天井は戻ってきている。隣に目を向ければ、寝返りするとぶつかりそうな距離に棚がある。  反対側の布団には誰もいない、父はもう仕事に出たらしい。最近は早いことが多いから、長く寝ていればそういうこともある。  テレビの音がするということは、母はもうリビングなのか。何で隣にいないんだ、と少し不満が(こぼ)れる。  起き上がろうとしたら、身体が重い、硬い。ギシギシ、なんて音が聞こえそう。ロボットになったみたい。  嫌になって、布団の中で転がる。布団を集めて、包まってみたり、暑くなったら腕を出してみたり。  早く、来てくれないかな。朝のほんのちょっとの時間、また甘やかしてくれたら良いな。  あんな怖い世界のことは早く忘れて、ぎゅっと抱きしめられたいよ。  そうやって願っていると、聞こえてくる足音。扉が開いて、起こさないようそっと覗く母に、私は小さく声を出した。  おはよう。
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