「父称」について

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「父称」について

ロシア人のミドルネーム部分は、「父称」(Отчествоオーチェクトヴァ)と言って、お父さんの名前の末尾が変格します。 男性の父称はお父さんの名前 -ovich(オヴィチ)-evich(エヴィチ)-ich(イチ) 女性の父称はお父さんの名前 -yevna(イェヴナ)-ovna(オヴナ)-ichna(イチナ) 例えば、 先代ツァーリ「ヴィクトル」の場合、息子たちの父称は「ヴィクトVictorovich」です。 ダーチャの父称は「ミハイMikhailovich」なので、お父さんの名前は「ミハイル」。 従って、ヴィクトルの息子であるダーチャパパの名前は ミハイル・ヴィクトロヴィチ・ロマニフ 順番は「名・父称・姓」です。 ダーチャの子どもの場合、 息子の父称は「アレクセーエヴィチ」 娘の父称は「アレクセーエヴナ」 です。 ダーチャと祥の息子・イヴァンを例にすると イヴァン・アレクセーエヴィチ・ロマニフ (注:イヴァンの父称は上記と違います) ここで気になるのが、パパがロシア人じゃなかったり、パパがいないなど名前を明かせない場合。 日本人の祥なら「ショーヴィチ」「ショーヴナ」と子どもにつきそうなものですが、明らかにロシア人ではないとわかる名前の父称をつけるのかどうかという点で意見が分かれるそうです。 こういったケースだと父称が無かったり、親戚から父称を借りたりなどしているようです。 【F国の場合】 旧ロシアの支配下に置かれた国などで父称は広く使われ、F国も例外ではありませんでした。 現在のF国では父称の強制はありません。 ロシア式(お父さんの名前だけ)、アラブ諸国式(お父さんとおじいさんの名を両方つける)、ヤンのように父称が無い場合、カリムのように父称を省略した場合など様々です。 地域差もあります。 バハードは古代から多民族が行き交う国際都市でした。ルールさえ守れば余所者でも受け入れるおおらかな土地柄です。沈没した挙句、住み着いた父称を持たない他民族もいました。父称が統一しないのはこの時代からです。 対照的に、東端のカシュガラはシルクロードから外れており、生活資源に乏しく排他的な土地柄です。余所者の出入りは少なくバハードほど父称にバラつきはありません。圧倒的多数がアラブ諸国式、お父さんとおじいさんの両方の名前がつきます。 ※「沈没」とは旅人用語で、「訪れた街に留まって長期滞在する」という意味です。
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