カエルとおばあちゃんと秘密のヒーロー

1/1
前へ
/1ページ
次へ

 カエルとおばあちゃんと秘密のヒーロー

  今日はお盆。  パパに逢えなくなってから  五回目の夏…… (パパ……心が痛いよ。苦しい。逢いたいよ……)  私ね、不器用すぎて。人間関係でいつも躓いちゃうんだ。  ホントね。 自分で自分が嫌んなっちゃうよ……  最近の自分は 、メンタルが弱っていて泣いてばかりだよ。  パパ。 (お盆でパパを迎えに来たんだ。 泣き顔なんて見せちゃだめ! 笑顔でお帰りなさいって、向かえなきゃね!) (あれ? カエルだ……)  墓石の上にね、ちっちゃな緑色のカエルが チョコンと乗ってるの。  不思議なんだ。  だって。  ずっとずっと。  カエルと目が合わさったままなんだもん。  カエルからなぜか、目が離せなかったんだ  その後ね、ママと○○(兄弟)と、父方のおばあちゃんの病院にお見舞いに行って。  おばあちゃんがね、ジッっと私の顔を見つめているの。 (あれ? この感じ何だろう?)  見つめているのは……  おばあちゃんではなく…… (あ! パパ?)  パパの訴えかける表情に見えたんだ。  しばらく見つめ合ってたの。  おばあちゃんが静かに泣いてるの。  一筋……スーッて頬に涙。  泣きながら私を抱き寄せるとね…… 『今の仕事頑張るんだよ。お前はそのままでいいんだよ』  そう言ってくれたんだ。  でもね。  話し方も。表情も。 (パパ……?)  パパなの。  だって、おばあちゃんが知らないはずの事が……  おばあちゃんの口から語られたんだもん。  パパの想い。  亡くなってから5年後の……  5年越しの想い。  久しぶりに。  パパの声が聞けたんだ。  涙が止まらなかったよ……  私もパパにね、ギュッてしたんだ。  やっぱりね!   パパは私のヒーローなんだ!   いつだって私がピンチの時は、そっと近くに寄り添って来てくれて。  一晩中だって、私の 話に黙って耳を傾けてくれて。  私の事ね、否定しないで認めてくれたんだ。 『 お前は、*イチガイコキで困った子だね。泣いてばかりで。でも感受性が豊かだからだね。 心の優しい良い子だよ』  パパの魔法の言の葉。  私の頑張る為の。  頑張れ無くなった時のね、モチベーションなの。 《なんだかね  良いトコよりも  悪いトコね  探す世の中  なんだろね》  生きずらいよ。  パパ……  けどね。 パパと話をしてから。  こう思えるようになったんだ。  パパはいつも私の傍にいてくれる。見守ってくれているから頑張れる!   目に見えなくたって  心の中に生きているんだ!   って。  それからはね。  今度はどんな形でパパに 逢えて。どんな話が出来るかな?   って楽しみになったんだ。  パパと私の秘密だよ!   私にとってね。  パパは  秘密のヒーローなんだ!   *某地方の方言 《頑固者》
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加