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僕はダンジョンの奥深くで、血塗れになりながら茫然と突っ立っていた
両手で闇でも黒光りする巨大な剣を握りしめている
刀身には読み解く事の出来ない奇怪なルーンがびっしりとあり、この深い深い闇の中、俺は不思議と全ての光景を見渡す事が出来た
生きている者は自分一人
倒れている殆どの兵は、親友であり神官戦士でもあるサンプラスの手下の兵士だ
首を落とされた者、胴が真っ二つになっている者、頭が潰れている者
20人以上の兵がいるが、全員がきっちりと死んでいる。これだけいれば虫の息でも生き残りがいるのが普通なのだが
まだ血が固まるほど時間は経っていないようだ
むせ返るような血の匂いと確かな体温
恐ろしいほどの死の気配と耳が痛くなる程の静寂
自分の鼓動と呼吸が闇に響く気がして僕はゆっくりと深呼吸をした
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