レベル4 ― 覚醒 ―

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神々の言葉を耳に、一人言葉を失っていた。 『ルシファが姫……。 敵を(あざむ)くには――、味方(変態)から……』  俺は五秒で納得した。 「お主のお陰で、彼らは無事この世界へと戻ったのだ。その行いの全ては古きより神々に伝わる書物において予言されていたのじゃ。更にその書には我々と同じ神として異世界で受け入れるように記されておる。そなたのこれまでの振舞の全てを拝見し、我々が最も適しておる神と感じたのが『エロ神様』じゃ」  神々は真剣な眼差しでそう告げた。 「しかし、ホープタウンに残したジルト達に別れも告げておらんっ」 「彼らは既にホープタウンを出発しておられます。あなたは神になる存在、彼らの心には落雷を受け死した記憶を与えておりまする」 「そうか……」  転生界における新たな宿命。ジルトは彼らの道を――、そして俺は新たな運命を受け入れなければならぬのか……。 そう、股間を押さえながら心の中で呟いた。 「リリカよ。エロ神様を彼の神殿へとご案内しなさい」  シャンプーが聞き覚えの無い名を呼んだ直後、俺の目の前に突如現れたツンデレエルフは神々に跪き敬意を表す。 「これより第四の神となる『エロ神様』だ。しっかりと仕えするように」 「はい。仰せの通りに――」  跪くツンデレエルフ、立ち尽くす姿よりも更に着衣胸元から胸の谷間が露出する。まるで胸先が見えるかのように――。  そして俺は老い歳百を迎える御老体の様に深々と腰を曲げ、胸先目掛けお辞儀する。 お辞儀する……、 お辞儀する……、 浮きブラから乳首が見えるまで……、深々とお辞儀する。 「……」  その光景に神々の冷たい視線を感じ、俺は……、 読者の期待を裏切り諦めてしまった。 「ハハハッ、日本式の挨拶じゃ」 「……」 腰を伸ばすと共に立ち上がる自らの下半身を目に説得力がゼロと化す。 「それでは『エロ神』さま。神殿迄ご案内いたします」  ツンデレエルフのリリカは、先程までとはまるで別人の様に丁重に俺を扱う。 『これほどまでに神と言う存在は力を持つのか……、ならばっ』  神殿へと続く長い通路、二人きりになったタイミングを見計らい前を浮きながら進むリリカの柔らかなお尻に手を触れようとした直後――、 「ビリビリッ、ダダンッ!!!」 「ウギャァ!」  小さな静電気が何故か大きな落雷へと変化し自らに打ち付ける。 「ピクピクッ……」 「エロ神さまは、落雷術に弱いとジルト様の心がそう申しておりました」 「ジルト……?」  神々に仕えるエルフたちは、異世界に住むものの心を読むことが出来る力を与えられており、長い時間を共に過ごしたジルトより弱点を読み取ったらしい。 「ふんっ。余計な事を、役立たずの老いぼれ魔術師め」 「老いぼれなどではございませぬ。彼は今、自らとは何の所縁もないホープタウンの民の為に戦場へと向かっています。役立たずなんて……」  薄いピンクの艶やかな髪を揺らしながら、淡いグリーンの瞳を潤ませリリカは爪を噛んでいた。 「戦場……」 「はい」 「ルシファも一緒か?」 「はい。シルクは村に残り子供たちの世話を、姫はジルトの制止を振り切り共に戦場へ」 「……」  リリカの情報を耳に俺は立ち止まる。 「エロ神様……、どうされたのですか?」 「すまぬ。神殿への案内はもういい。先に行ってくれ。俺は行かねばならぬ」 「エロ神様、まさか……」 「ちと、野暮用よ」 「いけませぬ。あなたは既に神である身――」  そして俺はリリカを振り切り、三名の神々と話したあの場所へと駆け戻った。  置き忘れたルシファのパンティを取りに……。 「パンティ――ッ!!」 『あれが無いと、グッスリ眠れんのじゃっ』
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