レベル3 ― 最終形体 ―

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 夢を見ていたのだろうか? 俺はベットに座り使用済みのコンドームを見つめていた。これは肌身離さずネックレスの小さな収納ケースに丸めしまい込んでいたもの。他の兵士は皆、家族写真やドラッグを隠し持っていたが、俺は厚さ0.01ミリの極薄にこだわりを持ち戦場へと向かっていた。 『夢じゃない……、ちゃんと使ってるもんっ』  白骨をなんとなく赤く染めた俺は、用意されたズボンを着用しジルト達が待つ調理場へと向かう。 「おはよう兵士殿」 「あぁ、ジルト」 「おはようございます。兵士さんっ」 「あ、あ、ああ、あああぁああ、 お、お、おはようございまする」  挙動不審な俺の返答にジルトはいよいよ死が近いと察したのか、何も語る事は無かった。同じようにルシファとの秘め事はまるで何も無かったかのように彼女は振る舞い、俺もその気持ちを受け止め普段と変わる事無く接する事にした。 『一夜限りの過ち――、 子供と思っていたがルシファも一人の女性』  恥じらいの視線を向ける彼女の姿を見守っていた時、部屋の扉をノックする音が響く。 「コンコンッ。旅人殿、失礼いたします」  開かれた扉の前には三人の兵士の姿。 「朝食を兼ねた宴の準備が整いましたので、さぁ、中央広場へ」  意味不明のままジルトとルシファそして魔物姫の後を追う様にホープタウン中央広場へと歩む。多くの住民たちが並び歓迎の眼差しを我らに注ぐ。 『一体これは……』  ロン毛骸骨に対し哀れみの視線を向けることなく拍手が響く。その理由は直ぐに分かる事となった。目の前の大きなテーブルに盛られた肉、野菜、果物その先の高台で我々を出迎えたのは、ここホープタウンの村長『タンシニア』とその横に座る幾つか包帯を巻いた痛々しい男の姿。 「旅人たちよ、我が息子『タンジュニア』の命をお救い下さり感謝の意を表す。遠慮なく食すがよい」  シニアとジュニア、何とも単純な名を持つ親子の馬鹿さ加減に驚きながらも、旅の間まともな食事を口にしていない我らにとって夢の様な光景だった。そう、あの時救った大木の陰で倒れていた男はなんとこの村の村長の息子であり、兵隊長を務める勇者だったのだ。 「何とお礼を申し上げればよいか」  タンジュニアは片足を引きずりながら歩み寄り跪く。 「私の身を案じ胸を締め付けるベストを脱ぎさり呼吸を楽に、重圧となる金貨袋を解き更には誤って怪我をしない様に小刀を外したうえで背負って下さるとは、貴方様は命の恩人です」 『えっ……、略奪したとは言えない……。 うーんっ。 こうなっては止むを得ない。 おいっ、そこの暇人読者。言いたくないが礼を申す。そなたのお陰であの男を救い、結果としてルシファとの一夜と贅沢な食事を口にする事となったぞっ。あの時異世界に連れてきて正解だったな』  彼に困った時は助け合う精神を告げた時、村人達の妙な視線が目に入る。 「うん? これは――」
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