レベル3 ― 最終形体 ―

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 村の目の前を流れる川の前で俺を囲む十名の子供達。 『うん? 暇人、お前まだここにいたのか? ロリコン路線に走ると告げたのについて来るとは、貴様かなりの変態だな』 「ロンガー、誰とお話ししてるの?」 「うん? あぁ、すまんすまんっ。俺様の事が大好きな変態のいい歳をした大人達が更新する度に現れて迷惑しておるんじゃ。暇人の変態ストーカーじゃ。うん? 本棚追加がいつの間にか十三人にも増えておる」 「ふぅ―んっ。よく分からないけどそうなんだぁ」  子供たちは不思議そうな視線を向けていたが、遊びをやめて釣りを始めた。働き盛りの男達が消えた街で少しでも食料を手に入れようと今は亡き父親たちのまねごとをする様に川へと竿を伸ばす。 「全然釣れないの。お爺ちゃんたちも何ヶ月も釣りをしたけど一匹も釣れないの」  川面に視線を向けると大きな黒い影が(うごめ)く。その姿を目に恐らく小魚たちは皆、あの大魚の群れに喰われているに違いない。この者達が使う餌など目もくれないのだろう。 「ヨシ、代われ。お主、お金を持っているか?」  子供たちは皆、裕福ではない故に同じタイミングで首を横に振る中、一人の小さな女の子が首元のネックレスを握りしめる。 「リーチェ、その金貨はダメだよっ。死んだお父さんの形見だろ!」  兄弟なのか小さな男の子は妹リーチェを叱りつける。それでも彼女は首を何度も横に振り、村の皆にお魚を食べさせたいと一粒の涙を零した。 「リーチェとやら、本当にその金貨を使っても良いのだな?」 「うん……」  手にした五円玉とよく似た大きさの穴の開いた金貨。異世界ではファイブペローと呼ばれる金貨らしく、お魚一匹も買えないお金だと口を揃えて告げるが、俺はその金貨を針の上部に結び付ける。  そして竿を手に川へと金貨と針を投げ入れた直後――。 「ザバ――ンッ!」  一匹の大魚が喰いついた。 「がぁあはぁはぁ! やはりそうか、異世界にいる強欲な魚めっ、金に釣られて喰いつきよったわい」 「わぁあああ! すごいっ」  こうして金貨をルアー代わりに使用した作戦は成功したが、釣れたのは僅か五匹だけだった。 「ヨシッ! リーチェ、後はお前が釣れっ。俺様は次の作戦を考える」 「沢山釣れても食べきれないよ」  その言葉に俺は干物として保存食を作る事を子供達へ教えた。 「いいかお前達、これからはお前達が未来だ。この街の名『ホープタウン(希望の街)』に相応しい希望を掴むのだ。サバイバルに生きる術を身につけろ! 俺が教えてやる」  真剣な眼差しを向ける子供達。親を亡くした哀しみを乗り越え懸命に村に尽くそうとしている。 『もっと沢山の魚が必要だ。 どうすれば――』  その時、一人の男の子が手にした現代のスクイ網の様な道具を目に俺様は閃いた。 『むふふっ、 おいっ、まだそこにいる暇人……、 知りたいだろっ……、 むふふっ』  
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