レベル4 ― 覚醒 ―

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 真っ白い大理石のベッドに横たわる自らの様子を伺いに現れし者、目を閉じる俺の気配を感じ取ることが出来るのか、傍によると跪き言葉を発する。 「お目覚めですね」 『……、コイツ何故わかる!? しかも可愛い透き通る声――、そしていい匂い』 「……」 「もう、意識は戻られているのでしょ?」 「……」  気を最大限に消したつもりだったが無意味と悟った時、止む無く瞼を開き視線を声の主へと向けた。 「ハッ……」 「……」  俺は一瞬にして言葉を失った。 「……」  目の前に跪く者の正体――、 「ごくっ……」  薄いピンクの艶やかな腰まで伸びる長い髪、その隙間からピンッと天へ向け伸びゆく長い耳、淡いグリーンの瞳を輝かせ俺の視線を一瞬にして奪う美貌。 『あぁぁぁ……、まさかエルフ!?』  北ヨーロッパの神話に登場する種族であるエルフ、まさに妖精の様な姿を目の前に戸惑いを覚える。 『異世界では、本当に存在するのか……』  履歴書の自己PR欄に必ず記載するほどに自覚しているおっぱいフェチの俺様を唸らせる谷間。真っ白い防具の胸元から溢れんばかりの巨乳に釘付けとなる。 「こんにちは――」  思わずF……、いやっGカップはあるであろう巨乳に挨拶する。 「やはり寝たフリを、それにどこ見て挨拶してるのですか!」 「うん? おやっ??」  美人故の欠点なのか? 口元を尖らせながら寝たフリをしていた俺様に対し不機嫌な眼差しを向け少し怒っている様にも伺える。 「ここは何処だ?」 「プイッ、知りません!」 エルフは険しい眼差しを向けた後、無愛想に視線をそらす。 『性格ブスのキツイ女か……、怒らせると厄介やもしれん』 「すまない……。 悪気はなかったが、とてもいい匂いがしたのでその……、 恥ずかしくなった――。 しかも、こんなに綺麗な方が目覚めと共に現れるとは」  思わず本心を素直に告げた時、エルフは頬を赤く染め両手の指先をモジモジと重ね合わせ俯き恥じらいを見せる。 「綺麗だなんて……」 「嘘ではない」 「もうっ! からかわないで下さいっ」  赤く染めた頬はやがてフグが威嚇するかのように、ふっくらと膨らみを見せながら振り下ろした手のひらで肩を叩く。その勢いは凄まじいと思いきや肩に触れる直前でと優しく突く様に接してきた。 『ぎゃぁああああ!!! ツンデレぇぇぇぇ―――、エルフゥ――っ』  レベル4まで辿り着いた俺様にこのようなご褒美があるとは……、粋な作者だ。止む負えん俺様も本棚登録してやろう。 「ポチッ」  自ら自身の作品を本棚登録する程虚しいものはない――。そこの暇人、もしやお主が物書きであるならば、是非この屈辱を共感するが良い。 自ら書いた作品を本棚にいれるのじゃ。 「ポチ、ポチ、ポチ、ポチッ……」 『そんなにいたのか……、お悔やみ申し上げます』
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