レベル4 ― 覚醒 ―

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 重い鎧を脱ぎ捨て『大和』と名乗った男は突然声を荒げた。 「もう、猿芝居はやめだ! 日本の国から異世界へと来たコイツの為に少しでも歓迎をとコスプレしたが、戦国武将は偉大な存在ではないのか?」  彼らは三人は、武将、花魁、仙人とどこで調べたのか不明だったが、俺を歓迎すべく前の世界の歴史を読み解き変装していたらしい。 「もう、俺がいた時代にそのような者達は存在しない――」  思わず零した本音を耳に、花魁、仙人も深いタメ息を吐き出し、一瞬にして幻想的な衣装へと戻った。  彼らの説明によると、異世界に於いて古くより伝えられる書物の一節に日本と言う国から神となりし男が突如現れると記されていたらしく、彼らはジルト達が戻って来た瞬間より天空から様子を伺っていた。 「で? あんたら誰??」  その問いかけに一番背の低い男が答えた。 「我達は異世界における訪問者を監視する役目。他世界より訪れし者をこの世界においてどのような存在に転生させるかを決める最後の(とりで)である。我が名はシャンプー、そして彼女はそなたの容姿を選んだリンス、先程大和と申し歓迎の意を示したのはトリートメントだ」 「……」  明らかに読者の知的レベルを軽視した覚えやすい名前。変態レベル4に達する変人共に複雑な三人の名は理解できぬと悟ったのであろう。しかも入浴する都度コメテンを思い出すと言う呪縛付きだ。 『変態諸君らの気持ちは察するが、これなら忘れんだろうっ』 彼らは言わば神、この三名の独断と偏見で後の自らの運命が左右されることとなる事実に俺は驚きを隠せない。 「若き肉体を持たれたその容姿はリンスの好み、お主は運が良かった」 屈強な肉体を持つトリートメントの話しによると、通常この世界にたどり着いた者は、漸く素行を監視され悪事働く者には家畜や野生動物へ、良識な心を持つ者は乳飲み子から生命を転生として与えるらしい。 「トリートメント、お主は先程私をエロ神様と――」 彼は否定する事なく頷く。 「お主はこの世界の住人である、ジルト、そしてルシファ姫、召し使いのシルク、三名の命を救った言わば英雄」 パチッパチッと瞬きを繰り返しながら俺は放心状態となる。 「ルシファ……、姫?? シルク?? 誰?」 「そうとも、ナザール王国の姫、ルシファである。シルクは動物に姿を変えられた姫の世話係だ」 「……、 ……、 ルシファが、姫っ!」
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