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いつでも傍にいられるわけじゃない。
毎日会える環境にもない。
いまだ障害は多く、それは簡単には解決しないだろう。
だが柳井はそれでもいいと思っている。
なぜなら、傍にいても離れていても、同じように心が繋がっていると確信しているから。自分にとって最初で最後の最愛の恋人は、今目の前で穏やかに微笑む深月しかいないと、心・・いや、魂で感じているから。
「―――俺も、世界一の幸せ者だ」
そう言って柳井の腕が深月の華奢な体を更に包み込み、―――――ふたりの滅多にないゆっくり過ごせる夜を、心ゆくまで堪能するのだった。
誰にも平等に訪れる12月24日の夜。
聖夜の澄んだ空の下、たくさんの恋人たちが・・数え切れない数多の家族が、愛する人に告げているのだろう。
―――――メリークリスマス。
特別なようで特別ではない、そんな夜を、ゆっくりきみと・・・。
―終―
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