プロローグ

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プロローグ

ユメヲミル。 真っ白なシーツの上で君が笑って言うんだ。 当たり前だろ?って… 何の悪気も無くサラッと言うもんだから、その度に拍子抜けしちゃうんだけど、君はきっと誰にでも優しい。 そんな君の優しくて、残酷な愛は体を重ねる度に、 ゆっくりと、溶けていく… まるでそれは夏場のアイスクリームみたい。 トクトクトク… 小さく聞こえる心臓音は、欲しいと強請れば耳元ではっきりと聞こえるように重なって… やがて繋がっていく。 掴み合う手と手だけが知る痛みも、引いては戻る波のように、自分勝手な愛情表現がムカつくくらいに気持ちが良い。 味気のない真っ白なシーツだけが知っているそれを、もう何年も辞められないでいた。 だから、俺は熊井なゆたを離せない。
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