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story1 僕らは白いシーツの上で愛を重ねる
「あ、要〜!」
図書室の開いた窓から熊井なゆたが声を掛けて来た。
常識はずれの俺の親友は、図書委員の目を盗んで窓の縁に手を掛けると、長くスラっとした足を蹴り上げてそんな境界線などなかったかの様に悠々と跨いでしまった。そして、うざったい前髪から高校生にしては色っぽい目が俺を真っ直ぐ見つめた。
肩上でおしゃれに切り揃えられたブルーアッシュの髪を掻き上げながら当たり前の様に俺の隣にやって来た。
今年は梅雨が短いらしく、まだ六月だと言うのに外は茹だるような暑さだった…
にも関わらず、俺たちの貧乏都立高校は授業以外の時間はこれ見よがしに黒板の端に大きく赤字で書かれた節電の2文字の通り、ご立派なエアコンは使われずにいた。
「あっつ…まじなんでエアコンつけねーの…」
そうなゆたは呟くと、自分のシャツの第二ボタンを開けてバタバタと動かした。
「で?何か用があるんだろ?」
俺は本を読む手を辞めずに、声だけで返事を返した。
「今日…暇?」
「特に何も。」
「じゃあ、俺の家な?」
「ん。」
俺の家な…
もう何回その言葉を聞いた事だろう…
毎週金曜日、俺はなゆたに抱かれる。
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