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メール 件名「お返事ありがとう」
こんばんは、なんだか今日は冷え込みましたね。
私は今○○という広告代理店で働いているのですが、上司が厳しくてなかなか仕事にOKを貰えず、毎日悪戦苦闘しています。世間では高給取りだエリートだともてはやされるけれど、実際に中で働いてみると出張も残業も多くて本当に過酷です。実は今このメールも、オフィスで書いているんですよ。今日は海外とのコール(電話会議です)があってまだしばらく帰れなさそうなので、ちょっと休憩タイムです(笑)。
窓から東京の夜景が見わたせて、とてもきれい。キラキラした景色を見ていると、あの田舎の中学校に居た頃から比べて、私も随分と遠くまで来たものだ、なんて感慨にふけってしまいます。
メール、返事もらえて嬉しかったです。
私が目立ってるグループで、玲於奈ちゃんが落ちこぼれだなんて、そんな風に思ったことがなかったので驚きました。人って周りを客観的に見ているようでいて、実は全然見えていないことがあるんですね。私から見ると玲於奈ちゃんは、大人びていて周りと群れなくて、とても格好いいと思って密かに憧れていたんですよ。
このメールを書きながら、あの頃のことを色々と思い出しています。
古賀小百合ちゃんって覚えていますか?あの、色が白くて日本人形みたいだったかわいい女の子。あの子が一時期クラスでいじめられていた時、玲於奈ちゃんがばあんと机を蹴飛ばして、「ガキっぽいことしてんじゃねえよ」って啖呵を切ったのを見て、ああ、すごいなあって思いました。あれから、もう誰も小百合ちゃんをいじめようとしませんでしたね。私もずっといじめは駄目だと思っていたのに、勇気がなくて言い出せなくて。だから玲於奈ちゃんが私を代弁してくれたように感じて嬉しかったのです。
そう言えば、小百合ちゃんも同窓会には来ていませんでした。会いたかったのに残念です。
こうやってメールしていると、あの頃に戻れたみたいでとても嬉しいです。中学生なんて、今から思えば本当に子供でしたね。
では、また。
小春
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