残念御曹司の最初で最後の恋物語

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大学の講義堂で泣いて迫ってしまい、人目を気にした彼女が、致し方なく⋯⋯というような感は否めないが。それでも、僕にとっては万歳三唱ものだった。 大きな湖と、美しい芝生、そして洗練された遊歩道が魅力的な公園。 そんな、絵画のような風景の中で、白いワンピースを揺らして、微笑む彼女。 僕の表情筋はもうドロドロの型なしだ。 やってきた水鳥に餌を上げたり、露店で軽食を食べ歩いたり――彼女が作ってきたお弁当を食べて「うまい」と微笑むと、彼女はふにゃりと恥ずかしそうに顔を綻ばせる。 これ以上なく幸せだった。 こんなことでよかったのか。 こんなことで彼女は笑顔になるのか。 僕はようやく気づいた。 「――ごめん。僕は今まで自分を押付けていたんだな」 「え⋯⋯?」 これまで押し付けがましい行動を反省する。 「君に振り向いてほしいあまり、自分の気持ちをばかりを押付け、君を知ろうとしなかった」 プレゼントは“女性”が好きなもの。食事は高級料理店。金額は高ければいい。 確かにそれで喜ぶ女性も多いのだろうが、彼女はそういう人間ではないようだ。 反省する僕を見て、垂れ目がちの瞳がうるうると輝く。 「一郎さん⋯⋯」 「約束する。君と――結と寄り添い、共に歩いていきたい。だから、どうか僕とお付き合いをしてもらえないだろうか?」
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