残念御曹司の最初で最後の恋物語

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シート膝の上に乗っていた、小さな手にそっと重ねる。 太陽に煌めく栗色の髪には天使の輪。ビー玉みたいな大きな瞳は今日も夢をいっぱい詰め込んでいる。 祈るように俯いていると、やがて、触れていた指先が優しく絡まる。 「最初は、高価なプレゼントで貧乏人だとからかっているのかと思ったけど、あなたの真剣な気持ちが伝わりました。――よろしくお願いします」 おずおずと気持ちを述べたあと、照れくさそうに微笑む彼女。 ――『気持ちだよ』 父さんの言っていたことが、今になって、ようやくわかった。 相手を好きであるなら、その気持ちに“寄り添いなさい”と言いたかったのだろう。 一方通行であっては、関係は成り立たないから。 「ありがとう⋯⋯結」 小さな身体を優しく抱き寄せた。 君のおかげで、僕は人としてほんの少しだけ成長できたような気がした。 ✳✳✳ それからというものの、僕たちは毎日一緒にいた。 大学ではもちろんのこと、休日にはなんでもないデート重ね、長い休みになれば互いの家でのんびり過ごすのが当たり前となっていた。
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