残念御曹司の最初で最後の恋物語

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「君をたった今好きになった! 僕と付き合ってくれ!」 ――これは、バラ色のキャンパスライフのはじまりに違いない!! そう、確信した。 「きゃーー!!」  バチーン! ⋯⋯⋯⋯か、かくしんした。 ✳✳✳ ことのはじまりは、父の経営する企業へ就職が内定していた、約ひと月前のこと。 僕は、家族団らんの夕食の席で、青天の霹靂とも言える宣告を受けた――。 「⋯⋯は? フランスに留学してこい? この前大学卒業したばかりなのに?」 慌てふためく僕をよそに、食事を進めながら父は軽ーく頷く。 「あぁ。今後、フランスにある私の友人ダレンの企業と強固な関係を築きたくてな。それをお前中心に進めていくことにしたんだ」 そもそも、我が家――竹本家は、日本でも最大と言われるほど大きな“タケモトホールディングス”を経営している。 傘下数は千を超え、あらゆる分野に精通している大企業を子会社として持ち、国内はもちろん海外でもある程度名がしれているらしい。 そこの社長でもある父――竹本 一(たけもとはじめ)は、祖父(会長)の右腕として、少しずれた奇抜な人柄と、見事な手腕で企業を一回り大きく成長させてきたひとりでもある。
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