残念御曹司の最初で最後の恋物語

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ちなみに、この情報はふた月の間に、周囲から死にものぐるいで聞き出した情報だ。 「一郎さん⋯⋯ランチはいきませんよ。友達と約束をしているので」 今日はそうきたか。 「では、良かったらディナーは?!美味しい高級レストランがあって――」 「――行きません」 毎日のように彼女のもとを訪れランチやデートに誘っているが、このありさまだ。 ちなみに告白の返事は―― 「――何度も言いますが、一郎さんとはお付き合いはできません。なので、すみませんが⋯⋯失礼します」 この台詞も週に一度は言われている。 初回で抱きついてしまったのがいけないか? あの平手打ちの跡はなかなか消えてくれなかった。 講義堂を出る後ろ姿を見送りながらも、次の戦略を考える。 渡すプレゼントをことごとく拒み、豪華なランチやディナーにも興味を示してくれない彼女。 僕はほとほと、困り果てている。 彼女が付き合ってくれたのは、怪我をさせてしまった週末の、ランチのみ。一度きりだ。 「結構有名で美味しいところだったんだが⋯⋯僕が粗相でもしたんだろうか」 “猪突猛進”で、友人たちからも変わり者呼ばわりされる僕は、やっぱり変人なのだろうか?
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