Last Step

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久しぶりの休み。 お気に入りの文庫本を手に、カフェに行こう。 ゆっくりと時の流れを味わいたい。 でもその前に。 私はあるところへ。 もう馴染みの階段を上がる。 すると、どうしても思い出してしまうんだ。 ガラスの階段。 シンデレラになる時間。 「カットを予約した中岡です」 「いつもありがとうございます。ご指名はなかったですね?」 「はい、できれば切ってもらったことがない方に」 「いつも仕事熱心ですね」 「いろんな話がしたいので」 「では、ご案内します」 促され、窓際の椅子に座った。 私が引っ越してすぐ、見つけた美容院。 雰囲気がどこかMARS*VOLTAに似ていて。 初めこそ、同じ人に切ってもらっていたが、あの記事をきっかけに、いろんな人の話を聞きたいからと申し入れた。 それからは毎回、違う人にカットしてもらっている。 私のほうから、人との出会いを求めるなんて。 今日はどんな人がカットしてくれるのかな? 少し緊張して待っていると。 「お待たせしました」 鏡ごしに微笑む、美容師さん。 えっ…。
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