番外編

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「随分とエロいお出迎えだな」 「これは、その、お風呂に…」 「どうでもいいけど、早く乾かしてやれ」 遼にとって。 髪の毛は我が子みたいなもの。 急いでドライヤーを掴んだその手を、遼に掴まれ。 後ろから乾かしてくれた。 いつも、してくれるみたいに。 「俺、店以外ではやんねーんだけど?」 「あ、美味しいご飯を作りますから」 「デザートもな」 「あ‼なにも買ってない…」 「俺はこっちのデザートでじゅうぶん」 と、首筋にキスをされ、素っ頓狂な悲鳴を上げる。 「全身感じるみたいだな」 「そんなこと…」 「イジメがいがある」 鏡の中で、遼の目が光る。 こ、こ、これはペースを取り戻さねば‼ そのままの格好で作れという、無理難題を無視し、手際よく料理を作る。 やっぱオムライスは、ふわとろよね。 ハンバーグは、お手製のデミグラスソース。 そしてケチャップを手に固まる。 ここは、なにか書くべきじゃないか? 遼という名前は、難しいから、無難にハートかな? サラダにスープに、これでもか‼とテーブルに並べる。 好きな人のために作ったご飯。 なんて言ってくれるだろう? 「じゃ、いただきます」 遼のスプーンがオムライスのハートを、真っ二つに引き裂いた…。
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