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葬儀に来る概ねの訪問者数については予め喪主から聞き取りしているものの、その数は合わないほうが度々だ。今回は焼香客が予想を超えて多い。明らかに進行の遅れがでていた。
火葬場への移動は多少の時間の前後は許容範囲だが、これ以上遅れて進捗にアクシデントがあることだけは避けなければならない。
今日の当事者、つまり故人は五十代後半男性、喪主はその妻だった。
焼香客が多いのは働き盛りの最中の死だったからだろうか。いつも口にする「会場はこちらでございます」というセリフが必要ない程、焼香を待つ列は絶え間が無い。
最大で二時間かかると踏んでいた焼香は、その時間内に終るかどうか亮介はやきもきしていた。
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