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誰もいなかった僕の世界に黒猫の『雨』が入ってきて、僕は一人じゃなくなった。
さみしかった僕の世界を、雨は楽しいものにしてくれた。
朝起きると雨がいて、学校に行く時も玄関から見送ってくれて、帰ると真っ先にお出迎えしてくれる。
何をするにもずっと一人だったのに、いつも雨がいてくれるようになって、僕の心はふわふわするようになった。
だけど、そこにもう一人入ってきた人がいる。
その人は背が高くてかっこよくて、強引だけどやさしいくて。そして僕を好きだと言ってくれる。
僕もその人が好き。
その人を前にすると僕の鼓動は壊れたように早くなり、そわそわしてぎゅっと抱きしめてもらいたくなる。そしてキスをして、肌を重ねて・・・。
「あっ・・・ぁ・・・っ」
膝を高々と上げられて浮いた腰に、熱い昂りを打ち込まれて、僕は一際高い声を上げた。
「ハル・・・痛い?」
奥深くまで身を沈めた涼介さんは心配そうに僕の顔を覗き込む。
僕は飛びそうになる意識をどうにか保ち、首を横に振った。
本当はまだ痛い。受け入れることに慣れていないそこは限界まで広げられ、身体が震えるくらい痛い。だけど、痛い中に快感もある。確かに入口は痛いけど、熱い昂りを直接感じる中はその存在にどうしようもない幸福感を生じさせる。
涼介さんが僕の中にいる。
それだけでうれしくておかしくなりそうなのに、動き始めたそれが、ある場所を掠めると、一人では決して味わうことが出来ない強い快感が身体を突き抜ける。
「あっ・・・!」
身体がビクンと跳ね、背中が仰け反る。
「あっあっあっ・・・っ」
そこを執拗に責められて僕は壊れた人形のように声を上げ続け、身体は強ばり小刻みに震え続ける。
そして透明な液を流している前の昂りを扱かれるとそこは勢いよく弾け、白濁が頬まで飛んだ。
その白濁をペロリと舐めとった涼介さんの舌はそのまま唇まで来ると、口の中を犯し始めた。
「ふ・・・ん・・・ん・・・」
イったばかりで整わない息が苦しくて喘ぐように口を開けるも、さらに深く入り込んだ舌に内頬の奥を愛撫される。
酸欠状態で朦朧とした意識は与えられる快感に敏感に反応する。
口内の感じる所を余すことなく刺激する舌に、イったばかりの僕のものは再び勃ち上がり、硬さを増してくる。それに満足したのか、唇を離すと今度は耳の穴に舌を入れる。ぐちょぐちょと耳を犯されながら、再び動いた腰に意識は飛び、ただひたすら与えられる快感に僕の腰も揺れ、さらに激しく腰を打ち付けられたその時、涼介さんは息を詰めた。
深く穿った腰をビクビクと震わせ、太く熱い昂りが僕の中でどくっどくっと脈打った。僕のものも同じ瞬間に互いの腹の間で爆ぜ、白濁を吐き出している。
まるで全力疾走したように肩で息をしていると、涼介さんもまた、整わない息のまま僕を見つめる。僕はその瞳を見つめ返し、僅かに口を開いた。
キスして欲しい。
その思いが通じたのか、涼介さんはそのまま身をかがめてキスしてくれた。けれどそれは舌を絡ませてくれたものの、すぐに離れてしまった。
「これ以上はダメだよ。病み上がりさん」
そう言うと僕の中から自身を引き抜いてゴムを外し、それを素早く処理すると、僕の身体をシーツごと抱えあげてバスルームへと向かう。
シーツは洗濯機に入れ、僕はそのままバスルームへと運ばれる。そこはすでに湯が張ってあって温かかった。
軽くシャワーで身体を流したあと湯船につかると、途端に身体が弛緩して自然と口から息が漏れた。それだけでも気持ちがいいのに、後ろに涼介さんに抱えられるように支えてもらっていると、その安心感も加わって瞼が落ちてくる。
「眠いの?ハル」
耳元から注がれる優しい問いかけに僕は首を横に振るも、瞼は完全に落ちてしまった。
「そのまま寝てていいよ。無理をさせたね・・・」
言葉と共に耳に降りてきたキスの音を、僕はもう夢の中で聞いていた。
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