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「それってもしかして、俺と同じで別の世界から連れてこられたってことか?」
俺だけではなかったのか。それもそうか、あんな化け物、一人で勝てるかもしれない人を呼んだところで、すべての敵を倒せるわけがない。
「では、あなたも、勝手に連れてこられたの?私以外にもいたの」
彼女もおれと同じようにこの事は知らされていないみたいだ。
「そうみたいだな。ってことは元の世界ではそれなりに戦っていたのか?」
ここに呼ばれる条件として、それなりの場数を踏んでいるらしい。そのはずだが、出会ったときは、ビーストに対して戦うことはせず、そのまま倒れこんでしまったことに、少し違和感を感じていた。
「・・・・」
アカリは、言いたくないらしく無言だった。
「でも、おかしいよ。ヒロと同じで、つれてきたのなら。私みたいなここに連れてきた人がいるはずだよ。
その人はどこにいったって言うの?」
確かここにつれてくるには、転移石というものが必要らしい。
それにアカリは今、連れてこられたと言っていた。
もう一人ここの状況を知っている人がいないといけないはずだ。
「死んだ。」
「え?」
「私をあの化け物から逃がすために、死んだ」
それは、思っていた最悪の事態だった。
やはりと言うべきなのか、この世界の残酷で、とても人が暮らすには命がけである。
「ごめんなさい」
ミリナは深々と頭を下げた。アカリをこの世界に呼んだのはミリナではないはずだが、それなりの責任が彼女なりにあるのだろう。
「とりあえず、今日はもう休もうぜ。俺はもう眠くて眠くてしゃーない。」
ミリナも俺もこれ以上アカリについてなにも聞かなかった。
「隣の部屋たしか使っていいって言ってよな。俺はそっちで寝るぞ。」
その夜、アカリとミリナは同じ部屋で寝て、俺は彼女達の隣の部屋に寝た。
そして俺は不思議な夢を見た。それはとても、なんとも切なく苦しい夢だった。
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