0人が本棚に入れています
本棚に追加
一夜
貴方を待っています。
幾度、真っ赤な日が昇り海へ呑み込まれようと来る日も来る日も同じ光景を眺めようとも
貴方を待って、待っています。
ただただ物言わぬ貴方の傍らで、月の光が差し込む美しい真珠貝と共に
貴方を
貴方を待っています。
百年の孤独等
貴方に逢える歓びに較べれば
どうと云う事もないのだから
喩え貴方が柔らかな土の中で
羽化待つ蛹のように眠り続け
傍に居るのに側に居ないとしても
二人で居るのに独りぼっちだとしても
貴方を待っています。
一つ二つ三つ四つ五つ六つ
七つ八つ九つ十
過ぎたる数は如何程か
喩え、その様が違おうと出逢えるのならば
どれ程か
円い星の破片に
貴方の潤いを湛えた真っ黒な眸を見る
差し込んだ月の光に貴方の白い貌を見る
幾度も昇り落ちる真っ赤な日に
貴方の小さく形の良い唇を見る
帳の下りた真っ暗で蒼い海から吹く潮風に貴方の長く艶やかで美しい髪を見る
こんなにも貴方を思い返すもので溢れているのに、いるからこそ
嗚呼、独りなのだなと息を吐く
細く細い、蜘蛛の糸のような
貴方と交わした約束が私を繋ぎ止める
百年
百年すれば出逢えるから
百年すれば出逢えるのなら
進んでいるのか止まっているのかも解らない時を游ぎ続けられる
百年
貴方を
貴方だけを待っています。
最初のコメントを投稿しよう!