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なんだか悲しくて涙が出て来そう。
そんな時、教室に誰かが入って来る気配がしたので慌てて目をこすり、顔を上げる。
衛……
「投影機、苦戦しているのか?そんなことだろうと思ったよ」
窓際に机を用意して、座って作業をしている私に近付いて来る衛。
その手にはバレーボールより小さいくらいの── 私が穴を開けているのと同じくらいの大きさの黒い球体を持っている。
「理科の準備室で、造りかけのコイツを見つけたんだ。理科の先生の許しを得て、手伝ってもらって完成させた。
光源はフィラメント── 光る部分がすごく小さな特殊な電球を、ホームセンターで買って来た。
このタイプは構造上、光る部分の形がそのまま映し出されてしまうから。なるべくまるく、小さいほうが好ましい。
フィラメントが小さい分、寿命も短いけど…… これだけあれば1日は持つだろう。
星座ごとに色の違うセロファンを貼ってある。これなら解説の時に、星座がわかりやすいだろ?」
衛はドームの中央。投影機を置くための机の上に、自分が持って来たものをセットし始める。
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