#005.衛のプラネタリウム

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#005.衛のプラネタリウム

 (マモル)はまた、廊下側一番後ろの自分の席で難しそうな洋書を読み始めてしまった。なんだか腹立たしくなって近寄り、その本を取り上げながら言う。 「ちょっと!マモルン。さっき学活の時、どこに行ってたのよ!」  私に本を取り上げられても、きっとその長い前髪に隠された表情は変えていないのだろう。 「腹の調子が悪かったからな。トイレに篭ってた」  落ち着いた口調で淡々と言う。 「文化祭の展示、プラネタリウムに決めたからね。マモルンにも手伝ってもらうよ」  私は学級委員長。さっき、朝の学活で今年の文化祭にて、クラスで何をしようか決めた。  決めた。と言っても、話し合いをしたわけではない。  みんな興味なさそうで、この中学の全校生が集合した体育館のステージで演劇や合唱などをする『発表』にするか、教室を使っての『展示』にするかさえの意見すら出て来ない。  女子達はみんな、漫画やアイドルグループに。男子達はゲームやアニメに夢中で、文化祭の催しなど二の次三の次のようだ。
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