12人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
ふえぇ…と、か細い声が聞こえ、慌てて目を開ける。
隣に目をやると、小さな手が空を掴むようにぱたぱたと動いている。その動きで余計に目が覚めてしまうのか、ふえぇぇ…と声が大きくなっていく。
「はいはい、大丈夫大丈夫…」と耳元で囁きながらゆっくりと抱き上げる。決して重くはないのにずしりとくるのは命の重みだろうか。
まだ眠い頭でそんなことを考えつつ、枕元に置いていたスマホを見ると、時刻はまだ夜中の2時だった。
最近は2時間おきに起こされている。新生児期はとっくの昔に過ぎたのに…やっぱり保育園に預け始めたからだろうか。新しい環境は大人でもストレスだし預けない方が幸せだったのだろうか…そもそも私なんかが子供なんて産まない方が良かったんじゃ…
そんな私の不安が伝わったのか、腕の中の息子が身をよじる。
ああごめんね、ごめん。大丈夫だよ。そう呟いてそっと背中を叩く。
ふぇふぇと泣き声が少しずつ小さくなり、彼は私の腕の中でまた眠りに落ちていった。
***
最初のコメントを投稿しよう!