母になる

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どれだけ寝ていなくても朝は皆に平等に、容赦なくやって来る。 そういえばアラームが鳴ったような。寝ぼけた頭で考えつつスマホの時計を確認し、慌てて飛び起きた。起きるべき時間はとっくの昔に過ぎている。 たしかに何分か前にアラームを止めた記憶はある。悠が寝たばっかりなのになんでこんなうるさい音で鳴るのよ!と思って止めた。確かに止めたけどなんでその時私は起きなかったのよ!? ああもう私のバカ!!と呟きながら顔を洗い、適当に化粧水を塗った後適当にメイクと着替えを済ませ、悠を起こす。 いきなり起こされてびっくりしたのか、泣きそうになる彼に「ごめんね眠いね!起きて!ご飯にしよう!」と声をかけて抱き上げる。 うあーん、と声をあげて泣き出す彼を子供用の椅子に座らせようとするも、じたばたと暴れて座ろうとしない。 「頼むから座って…急いでるのよ…」とうんざりしつつ無理矢理座らせる。うわぁーん!と泣き声が一段と酷くなる。しかし構っている暇はない。 レトルトの離乳食をレンジに突っ込み、その間に食パンを焼く。最後に座って朝食を食べたのはいつだったか。 毎日毎日こんな調子だ。
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