母になる

4/10
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
保育園に着いてからは戦場だ。保育士の先生も送りに来た親もバタバタと忙しそうに動き回っている。 手早く連絡帳と水筒を所定の位置に置き、オムツ用のゴミ袋をトイレに置いてから先生に悠を引き渡すのだが、預けられる度に悠は泣き叫ぶ。 それは今日も例外ではなく、先生に引き渡そうとした途端にやあああ!!と叫び、私の服をぎゅっと掴む。 ごめんねママ仕事だから、と手を引き剥がし、先生に預けるものの、のけぞって抱っこから降りようとする。 「悠くん危ないよぉ、ママお仕事だからね〜」と優しく声をかける先生の声は多分彼の耳には届いていない。 「大丈夫ですよ、お仕事行っちゃってください、がんばって!」と言われ、すみませんと頭を下げつつ保育室を出た。部屋を出てもなお悠の泣き声は廊下まで響いており、毎日毎日後ろ髪を引かれる思いで保育園を出る。 そのまま走って職場へ向かう。また今日もギリギリだ。 ***
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!