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漢字とひらがな
プロ作家さんの小説を読んでいて〈漢字がすくない〉と思ったことはありませんか? あるいはどの漢字を使えばいいのかと悩んだりすることは。
そのあたりを何回かに分けて書いてみたいと思います。
○たとえば「ため息まじり」
〈交〉は「とけあわないまじり方」
〈混〉は「とけ合うまじり方、容易に元の状態に戻せないまじり方」
●小雨交じり・白髪交じり・ため息交じり・皮肉交じり
●異物が混じる・絵の具を混ぜる・雑音が混ざる
男と女はときどき交わるそうです。僕はよくわからないんですけどね( *´艸`)
おすすめは迷わず「ため息まじり」の「ひらがな」表記です。
*** (*ΦωΦ) ***
○「降りる」と「下りる」同訓異義ですね。
●「下りる」上から下への移動。指示が出ること。
●「降りる」乗り物などから外へ出ること。役割を「退く」こと。
※外れる意味もあるので、高速からおりる時には、上下移動ではなく「降りる」を使ったほうが無難でしょう。高速はたいてい「乗る」と言いますので。
●階段を下りる・山を下りる・許可が下りる
●電車を降りる・主役を降りる・役職を降りる・勝負を降りる
※乗り物から出る場合「降りる」を使うのが一般的ですが「下りる」でも間違いではありません。なぜなら、乗り物からおりる時には少し下に移動していることが多いからです。「降車」と「下車」がそれを表しています。
それと同じく「階段を降りる」も間違いではありません。日本語というのは難しくも美しくもややこしい。
※こんなときは迷わず「ひらがな」を使いましょう。ひらがな万歳!
*** (*ΦㅅΦ*) ***
○「うなづく」は旧仮名遣いで、「うなずく」は昭和61年に内閣告示された現代仮名遣いです。どちらも正しい書き方です。僕は以前「うなづく」をつかっていましたが「うなずく」に変更しました。
漢字表記にすると「頷く」「肯く」があります。
語源は、項(うなじ)を前に突くという意味から「項突く(うなつく)」とあらわされたものです。
「頷く」は、あごを上下に動かして承諾の気持ちを動作で示しています。
「肯く」は、肯定の「肯」で、心の底から納得して承諾している気持ちを示しています。
「頷く」よりも「肯く」と書いたほうが、考えて承諾している意味をあらわせるため、小説などでもみかけます。作家さんでも漢字で書く方とひらがな表記の方がいます。
*** (ⓛωⓛ) ***
〈交ぜ書き〉の扱いも難しいところです。
子供・子ども/友達・友だち
『小説塾』塾長の作家、薄井ゆうじさんは〈熟語は交ぜ書きではなく「友達」と書いてください〉と指導しています。
友だちに関しては、文科省が変遷した歴史があります。
〈友達→友だち→友達〉
その理由は全部漢字で表記しても否定的や、ネガティブな意味はない。と判断したからのようです。
元々、漢字だった部分をひらがなにする〈交ぜ書き〉は日本語の使い方としては正しくない。との指摘もあります。その理由として、文脈によっては読みにくかったり、その言葉の意味が分かりづらくなるからだそうです。
その反面、〈交ぜ書き〉の「子ども」の方が、見た目に温かく感じるとか、「供」という漢字に差別的なものを感じるといった理由で〈交ぜ書き〉の「子ども」の表記が使われているのが現状のようです。
※文部科学省は2013年から公文書では「子供」の表記で統一することを発表しています。これは「補てん」や「混とん」のように漢字とひらがなが混じった表記(交ぜ書き)は文脈によっては読みづらい場合があることと、「供」はもともとは複数を表す「とも」の当て字なので不適切ではないという見解によるものです。広辞苑はこれらを拠りどころとして「子供」としています。
文科省の見解は「子供」ですが、メディアや雑誌などでは「子ども」表記が少なくないです。僕の場合、子供→子ども・友達→友だち、で落ち着いてますけど、どこかで変えるのかもしれません。
書籍や雑誌は、出版社でルールやガイドラインを設けている場合もありますが、編集者の裁量に任される部分も大きいようです。
おおむね、紙媒体では時代とともにひらがな表記が増えています。読みづらい漢字はなるべくひらがなで書いたり、ことわざ、四字熟語、専門用語などで難解な言葉には読みがなやルビを振る傾向があります。
読みづらい漢字は、なるべくひらがなで書く。迷ったらひらがな。
次回は使用例を上げてみたいと思います。当て字や熟字訓もですね。
─To Be Continued─
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