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当て字
〇当て字=その語と意味のうえで直接関係のない漢字の和訓や字音を借用する用法、またはその漢字をいう。「宛字」とも書く。
〇本来の漢字の用い方からははずれた用い方をすることを、一般に「当て字」と呼んでいます。
○当て字には漢字の音(読み方)のみを優先した当て字と、漢字の意味のみを優先した当て字の二種類があります。
○当て字の多くは、常用漢字に含まれていない文字を使用しています。常用漢字とは、一般的な社会生活では使用したほうがよいとされている字のことです。当て字はひらがな表記が原則ですが、
※小説の場合は作家の意図で使ったりします。あとは出版社の基準で決めるようです。
※明治を代表する作家・夏目漱石は、作中で「当て字」を多用したことで知られています。漱石が用いた当て字には、当時は一般的な表記だったものから、漱石独自のものまでさまざまです。
〈例〉
空疎もの→「うっかりもの」
画布→「カンバス」
糠る海→「ぬかるみ」
羞痒たい→「くすぐったい」
○『虞美人草』→「ヒナゲシ」の別名です。
「随分遠いね。元来どこから登るのだ」
と一人ひとりが手巾で額を拭きながら立ち留どまった。
○『行人』→ 道を行く人・通行人・旅人。
梅田の停車場を下おりるや否や自分は母からいいつけられた通り、
<当て字の例>
×灰汁 〇あく
×欠伸 〇あくび
×小豆 〇あずき
×居心地 〇いごこち
×銀杏 〇いちょう
×出来る 〇できる
×沢山 〇たくさん
×兎に角 〇とにかく
×素敵 〇すてき
×無理矢理 〇むりやり
×無駄 〇むだ
×何時 〇いつ
×好い加減 〇いいかげん
×誤魔化す 〇ごまかす
×上手い 〇うまい
×滅茶苦茶 〇めちゃくちゃ
×真面目 ○まじめ
副詞・副助詞もひらがなで書くことが推奨されています。こちらも念入りにチェックしましょう。
<例>
×何故 〇なぜ
×予め 〇あらかじめ
×何れ 〇いずれ
×未だ 〇いまだ
×概ね 〇おおむね
×直ぐに 〇すぐに
×遂に 〇ついに
×殆ど 〇ほとんど
×先ず 〇まず
×未だ 〇まだ
×等 〇など
×迄 〇まで
×大人 〇おとな
以下のような接続詞も、ひらがなで書くのが慣例となっています。
<例>
×或いは 〇あるいは
×尚 〇なお
×拠って 〇よって
名詞にも、ひらがなで書くべき言葉があります。
<例>
×咽喉 〇のど
×硝子 〇がらす(ガラス)
×胡坐 〇あぐら
×煙草 〇たばこ
場面によってカタカナを使うのもありです。
しかし、作者任せなのが小説です。時代劇なら漢字を使ったほうがしっくりくる場合が多そうです。
─To Be Continued─
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