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視点「三人称」
『三人称』あまり重要ではありません。
一人称は『登場人物』が、語り手=「地の文」であったのに対して、三人称は『物語に登場しない第三者』が語り手です。
○特定の人物の背後(頭上)に付き従って見聞きする『一元視点』
○自由に飛び回って見聞きする『多元視点』
○はるか上空から全てを見わたして見聞きする『神視点』があります。
小説の書き方も時代によって変わっていきます。人称に限らずタブーがタブーでなくなるときも来るはずです。ですからルールも変わっていくでしょう。
変わらないものがひとつあります。読者が違和感なく読めて面白いこと。このルールだけは不変です。
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『三人称多元視点』※ここは重要ではないので読み飛ばしてください。
●シーンに応じて複数の登場人物のうちの一人が視点を持つのが『三人称多元視点』です。章と視点を変えれば自由に描写ができます。
ただし視点を持つ人物の考えや思いを書いてしまうと『一人称視点』になってしまうので書けません。
「俺・僕・私」「あなた・彼・彼女」などの一人称代名詞は使えません。
三人称多元視点を使った小説をあげておきます。
宮部みゆき『スナーク狩り』
伊坂幸太郎『ラッシュライフ』
湊かなえ『告白』
〇もしも違っていたらすみません。
登場人物の心情は憶測でしか描けないため、感情移入に関しては「一人称視点」に及びませんが、すべての登場人物を描けるのは便利です。
主人公などの人物に視点を縛られないため、主人公の意識がない時や、主人公のいない遠い場所の出来事でも、読者に物語を見せる事ができるからです。しかしこれは現在の主流ではありません。
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『三人称神視点』※ここも重要ではありません。
●読み手は登場人物の誰かになるでもなく、物語が進みます。読者はテレビドラマでも見ているような距離感になります。
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『三人称一元視点』※ここ、重要です。試験に出ます( ´艸`)
●三人称としてはこれが一番使われます。各シーンごとに登場人物の視点で地の文章を構成するものです。 主語は「私・僕」ではなく登場人物の名前になり、一人称のように描くことができるため心情を描きやすくなります。
一元視点は一人称と同じく、主人公の見たこと感じたことしか書いてはいけません。それにより一体感・臨場感が生まれるからです。
各シーンで視点は固定されます。同一シーンでの視点の移動はタブーです。
例えば「上杉謙信」の視点で物語を進めるとします。一人称と同じく「謙信」がいない場面は書けないし、「謙信」が見ていない場面も書けません。書く場合は推測か、あと聞きになります。
「……だったらしい」
「……だったと聞いた」という形になります。
●三人称に一人称が入り込んだ形になりますが主語を名前、「謙信」に統一すれば難しくはありません。おまけに一人称で語られる「私」の心情がかなり抑えられます。
例えば一人称「私」で描かれた自分の小説を「三人称一元視点」の「謙信」に置き換えて読んでみてください、いかに「私」を連発し、心情を書き込み過ぎていたのかに気がつくはずです。
今たまたま、吉田修一の『悪人』を読んでいます。2007年の刊行で毎日出版文化賞と大佛次郎賞を受賞した作品です。映画化もされています。ご存知でしょうが、吉田修一は芥川賞作家さんです。
『悪人』は三人称一元視点で描かれています。『◇』で区切られて、数ページで視点者が目まぐるしく入れ替わるので多元視点のように見えますが、心情が描かれるので一元視点です。
ところが章を分かたずに視点者が変わったりします。この部分は多元視点にみえます。
地の文で「私」が使われるシーンがありますが違和感はありません。
群像劇で使われたりするこのタイプの小説にはデメリットがあります。視点者が変わりすぎるがゆえに登場人物に感情移入がしにくいのです。
事実、『悪人』を読み進めても、誰にもなりきれない自分がいます。
アッと驚かせるどんでん返しや緻密な構成、多くの伏線、鮮やかな回収によほどの自信がないかぎりお勧めできません。
そうこうしているうちに『悪人』読み終えました。最後は視点者が絞られてよかったです。心に残りました。もしも絞れないままだったら……。
まとめです。
●一人称は「私、僕、俺」の視点で書かれた物語。
●三人称一元視点は「謙信は」など名前で書かれつつ、一人の人物の視点で進む物語。章で区切ることによって視点者を変えられます。
●三人称多元視点は「謙信は」「信玄は」など名前で書かれつつ、複数の視点で進む物語。視点者の心情は書けません。
●三人称神視点は下に例文をあげます。
「謙信」は「信玄」について、人の上に立つべき人間ではないと、常々口にしている。多くの武将が、越後の山を越えて助けを求めてくるからだ。しかし一方の「信玄」は、「謙信」は間の抜けた武将だと蔑んでいる。なぜなら攻め取った城に配下を置かず引き上げてしまうからだ。それゆえすぐに謀反が起こる。目指すものが違う二人が分かり合えないのもやむを得ないことなのだろう」
こんな感じで、神=作者の視点で書かれた物語です。
たとえば、テンポの速いコメディタッチの格闘系やスポーツ系には向きそうですが、あまり使われません。おそらくは書きやすいのだと思いますが、もっと先を目指す方にはお勧めできません。
なんか、まとまりが悪くなりました。
─To Be Continued─
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