子煩悩の功罪

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その頃から、本格的に小説を書き始めた 文学部で学んだこと・・・文学史や形式、それは何の役にも立たなかった 学ぶことは、過去をなぞることだからだ ある時、時代を変えるような天才が現れる 唐突に、忽然と ほとんどの場合、評論家はそういう天才を正当に評価できない 連中は、作家になれなかったごみ溜めのようなものだから、斬新な作風を理解なんかできないのだ だが、新しいものに餓えている若い読者は、その才能に気づく そして瞬く間に、天才は時代の寵児に祭り上げられる すると、すぐに世の中は、似たような作風を求めるようになる 当初批判的だった評論家は掌を返し、二番煎じ、三番煎じの凡庸な作家が、ぞろぞろと湧いてくる そうして「時代」が作られるのだ
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