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プロローグ
「ね、覚えてる?西村先生のこと」
サキの言葉に私は一瞬息をつまらせた。
「・・・誰だっけ」
飲み干したアイスコーヒーをストローでかき混ぜる。氷がカシャカシャと小さく音をたてた。
サキは探るような目をしていたが、やがて一つ息をつくと安心したように、しかしどこか寂しそうに微笑んだ。
「覚えてない、か」
飲み干したグラスを手に取り、私も静かに笑う。
「えー、急に何?」
「あの人さ、死んだんだって」
私の笑顔は固まったまま、グラスは手から滑り落ちた。
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