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「金剛杵さえ無ければ、お前など!」
空中から斬り掛かる大刀の刃を、独特の形の法具... 金剛杵で受けた帝釈は
「幾度 同じ事を言うておる?」と、腕 一本の力で
男を払い飛ばした。
「舎脂は、俺を愛したのだ。もう良かろう。
修羅と成り下がりおって」
「黙れッ!! お前を降さねば 気が済まん!!」
白象の上から見下ろす帝釈に、転がった土の上に 起き上がった男が 走り込み、大刀を振り上げる。
金剛杵が刃を受けると、男は大刀を手離して跳び
白象から帝釈を蹴り落とす。
着地する間際に、落ちる帝釈の金剛杵から浮く
大刀の柄を掴み取った。
男に蹴り飛ばされ、白象から落ちる帝釈は
瞬間 ぐっと膝を曲げ、足裏で着地した。
立ち上がらずに 片足を前に出すと
「“やられたら やる側に回る”、と?」と
大刀の刃先を向ける男の足を回し蹴っていて
ドクン と、胸が鳴る。
足を払われると、身体を捻り、片手を着いて後方回転した男が
「やった側が 何を... !」と、声を震わせたが
体勢を整えるより早く 矢の雷槌が降った。
バン! と 光の矢に射たれ、地に打ち付けられた男の身体が 一度 跳ねて転がると、帝釈は
「やる側に回り 俺を降したとて、俺が舎脂を拐い犯した事は変わらんだろう?」と、鼻を鳴らしている。
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