前途多難

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「俺たちいつも屋上で食べてるから、昼休みにまた迎えに来る」 「え゛…はぁ、うん…」 屋上…… うちの学校は屋上って立ち入り禁止だったはずだけど。一軍ともなると屋上にすら自由に出入りしてんの?先生に見つかったら俺まで怒られるじゃん。 そんな事を考えつつも仕方なく返事をする。 すると、ようやく瀬川が俺の腕を離してくれた。 かと思うと、俺の目をじっと見つめて微笑み、 「雨宮、今日も可愛い」 と普通の声のトーンで言いのけた。 地鳴りのように騒ぎ出す教室、女子が顔を赤くしながら口々に黄色い悲鳴を上げたり、「かっこいいー!」「私も言って欲しい!きゃー!」なんて妄想に花を咲かせたりしている。 当の本人の俺は鳥肌が止まらない訳だが。 今までも女子に可愛いって言われたり綺麗だとか美人だとか顔面にお褒めの言葉を貰うことはあった。男子にもふざけた空気感でなら言われることもある。 けど男にこんな真面目に真剣なトーンで瞳を見つめられながら言われたことなんて流石に初めてなわけで、俺の脳みそが「コイツは危険だ」と鐘を鳴らしていた。 はやく、どこかでバッサリと断らなくちゃ。 お前の事を俺が好きになることなんて一生ねぇよって、いい加減諦めろよって。 可愛いに対する返答が思いつかず黙っていると、席に座っていた奏が俺のところに来て腕を引っ張った。 「遥、席行こー」 「あ、うん」 奏……!!!!救世主……!!! 昨日は助けてくれないと言ってたのになんだかんだ助け舟を渡してくれた奏に感謝して立ち去ろうとすると、奏がくるりと瀬川の方に向き直った。 「今日は遥をあげるけど、ちゃんとすぐね」
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