前途多難

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その次の瞬間、鶴田と横峯がゲラゲラと可笑しそうにまた笑い始める。 な、何だ……? 「あはは!!瀬川忘れられてやんの!!」 「マジウケるわ、瀬川王子なのに印象薄かったんだな〜」 忘れ……? え?俺瀬川となんか面識あったっけ。 いくら考えても出てこない答えに首を傾げる。 「う、うるさい!別にいいんだよ覚えてなくても!!」 「強がんなって〜ちょっとショックな癖に」 楽しそうに瀬川をからかう2人と、ちょっと焦ったような瀬川。 「あの……なんか俺忘れてる?言ってくれたら思い出すかも……」 俺がおずおずと聞くと、瀬川は少し考えたような顔をしたがぶんぶんと首を横に振った。 「無理に思い出さなくていいよ!雨宮にはこれからの俺を見てもらって判断してもらいたいし」 ……いや、だからそれは断る予定なんだが。 そう思っても声に出せない小心者の俺は小さく肩を竦めた。 瀬川が言いたくないならこれ以上言及するつもりもないけど、そう言われると逆に気になってしまう。 瀬川と何かあったっけ。W王子とか言われてやたらくっつけられた時期に何かしてしまったのか? もぐもぐと口を動かしながらそう考えていると、少し経って昼休み終了10分前のチャイムが鳴った。 なんとか弁当の中身を詰め込み、急いで片付ける。屋上にいるから教室まで少し遠い。急がないと授業に遅刻してしまうかもしれない。 遅刻するだけならまだいい。だが遅刻して教室が静かな時に、この一軍メンバーと一緒に教室に入って注目を浴びるのだけは勘弁願いたい。 そう思って立ち上がると、瀬川が慌てたように俺の手を掴んだ。 ……おいおい、もうすぐ授業始まるのに今からなんか話でもあるのか?!早く終わらせないと遅刻してしまう。 そんな事を思う俺にはお構い無しに、瀬川は少し照れたように頭をかきながら俺の手を取ったまま黙って地面を見つめている。 ……イラッ。 「黙ってないで言いたいことがあるなら早く言えよ」 コイツは時計を見てないのか?そう思いながら苛立った俺は瀬川を急かした。 「……ええと。……今度の土曜、デートして欲しいんだけど」 ……? …………!? デート!?
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