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……げ、鶴田健人。
俺、こいつ嫌い。
瀬川と同じ一軍メンバーなんだけど、声がデカくていつもチャチャラしてて女好き。如何にも下品だし、正直絡みたくない部類の人間だ。
赤茶の髪の毛を緩くパーマにしていて、セパレードでピアスがじゃらじゃら耳についてるし、指輪だの腕輪だの先生も没収しろよってくらい付いてるし。
鋭い目をしてて何考えてんのかわかんねーし。
ていうかなんでお前がしゃしゃってくるんだよ。俺と瀬川の問題だろ。
どうせ楽しいとか面白いとかそんな興味本位で瀬川に味方してんだろーけどさ。
「…」
俺が黙ったのを鶴田は勝手に肯定と受け取ったのか、ポンポンと俺の肩を叩いてくる。……うざい、死ぬほどウザイ。
「よかったなぁ瀬川、雨宮つるんでくれるってよ」
誰もそんなこと言ってねぇよ。
そして瀬川、嬉しそうに俺を見ないでくれ…。
「本当か?!嬉しい、ありがとう雨宮。これからよろしくな」
ぎゅっと俺の手を握り、前のめりになる瀬川を背を反らして避ける。
周りの女子たちがまたキャーキャー騒ぎ、よかったね瀬川くん!と瀬川を取り囲んで楽しそうに談笑している。
……なんでこうなったのか、と頭の中で反復し続けるが答えは見つからず、どんどんと湧き出てくる嫌な予感に俺は肩を落とした。
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