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いつもつるんでいるメンバーは知っているが、俺は一軍…まぁ所謂カースト上位の人間が大の苦手なのだ。
俺は顔面が整っているが故に、どの時代も新しいコミュニティに飛び込む時カースト上位陣に目をつけられたり、難癖つけられたり、仲間に入れられようとしたりしてきた。
美形って言うのはそれだけで一種のステータスなわけであって、そこが秀でている奴は自動的に目立ち、カースト上位だという認識をされるのだ。
でも俺はそういうカースト上位のヤツらのノリについていけず、面白いとも思わず、どんどんそいつらの事が苦手になっていった。
雰囲気だけで陰キャを迫害するカースト上位陣が別の生き物にしか見えなくて。
いや、勿論ただの偏見なんだけど。このクラスの一軍達が誰かを虐めているわけでもないし、陰キャを迫害したわけでも、難癖つけられた訳でもない。
でも現にこうして告白されて無理矢理つるむ約束までさせられているので。
…………やっぱり苦手だ。陽キャ。
俺が苦虫を噛み潰したような顔をしているのに気付いたカジが、何やら考え込んだ後ポンと手を叩いた。
「あんまりしつこい様なら、俺と付き合ってることにする?」
「…………えっ」
カジの突飛な提案に返事が遅れる。
「流石に付き合ってるやつ、しかも同性がいるって分かったら王子たるもの退かざるを得ないじゃね?!俺天才!?」
ナイスアイディア!と指を鳴らすカジを目を丸くして見つめる。
「でもそれしたらお前までホモだと思われるぞ。いっつも彼女欲しい彼女欲しいって言ってんのに今年も彼女できねーぞ」
一瞬びっくりしたものの、楽しそうにしているカジに気を取り直す。こう言えばカジもそりゃだめだ!とか言ってくるだろうと。
しかし、カジはいつものおちゃらけた表情をしまい込み、焦げ茶のサラサラとした髪を揺らして首をかしげ柔らかく微笑んだ。
「別にいいよ、遥となら」
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