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「なあ、あいつ大丈夫か?」 「竜太のこと?」 「うん」 角谷が帰った後、姫乃は少し機嫌が悪くなっていたので間を置いて訊いてみた。 「竜太はいつもああなんだ、幼馴染ってこともあって小さい時から一緒でね。 お母さんがまだ優しかった時によろしくって言われてそれで本気になったのかわかんないけどいちいち口出してきてさ、まぁそれでも竜太なりにあたしのこと思って言ってくれるんだろうなって思ってたけどお母さんが冷たくなった頃からあたし竜太のそんな態度もイヤになって」 「姫乃は角谷のこと嫌いなのか?」 「…… そうじゃないけど。 なんだろう? でも今は竜太とはあんまり話したくはないかな」 それは姫乃のお母さんがなんとかなれば角谷とももう少し落ち着いて話せるってことかな? 「それにしてもお前って俺と付き合ってることまだ誰にも言ってないの?」 「え? ふふふ、言って欲しい?」 「なんでそんな顔するんだよ? ただの確認だよ」 「ゆかぴぃとマミちんには言ったよ、ああ見えて口は堅いから」 女に口が堅いと言われると説得力ないよなぁ、俺の偏見だけど。 「それなら良かった」 「え? 何が??」 やっぱり会わないで良かったってこと、絶対ウザい絡みされるだろうからな。 「それでね」 姫乃がニコッと笑って見せたが気不味そうな顔をした。 まさか…… 「2人もあゆ君の家に来てみたいって!」 「やっぱりそれかよ!? 勘弁しろよ」 こいつの幼馴染とやらが来たからパターンになると思ったけどやっぱりかよ。 後日、お約束通り姫乃の友達2人も俺のアパートにやって来た、言われることも予想通りでやれアパートボロいだの姫乃とはどこまでいったの? というお決まりのことを言われた。 「結構しつこかったね2人とも」 「お前が招待したせいでな」 「ごめーん! だってこういうこともしてみたかったから。 あの家じゃ出来そうにないし」 まぁ姫乃の家じゃな、親とも険悪なようだし。 「まったく。 まぁお前がそうしたいならそうすればいいけど」 そう言うと姫乃は俺にくっ付いた。 「ん?」 「嬉しい、そんでもってやっぱりあゆ君優しい。 あゆ君に拾われて本当に良かった」 「結構費用掛かったけどな」 「ふふふ、照れてるあゆ君」 「照れてないし」 ……… 離れないの? なんか押してくるんだけど姫乃の奴。 「ん〜」 「それはないだろ」 「はわッ」 姫乃が顔を近付けてきたので咄嗟に俺は姫乃から離れると俺に寄り掛かっていた姫乃はバランスを崩してテーブルに手をついた。 「あゆ君のがないでしょ! 今あたしちょっと危なかった」 「うん、いろんな意味で」 「おかしいな、あたしあゆ君のど真ん中なんだよね? 今のタイミングで拒否られるなんてどういうことだろう??」 「どういうことも何も……」 「ま、まさかあゆ君……」 姫乃の顔色が急に悪くなった。  なんだ? 多分ろくなことじゃなさそうなのはわかる。 「ゆかぴぃとマミちんが言ってたんだけど」 「言ってたんだけど?」 「あっちの方が不能とかって……」 「…… は?! んなわけあるか!」 「だ、だよねぇ、そんなわけない…… ん? ないんだ?」 「そうだけど? って…… 何言わせてんだよ!」 「だってこんなに誘ってるのに〜。 もしかして!!」 今度はなんだ…… 「あ、あたしのことタイプって言っておきながら他に気になる人でも……」 「いや、仮に気になる人が居たとして俺がそんなにモテると思うか?」 「んー…… あたしダメみたい」 「へ?」 「なんていうか…… 今のあゆ君5割り増しくらいかっこよく見えちゃってるっていうか、アハッ」 急にくねくねと…… 俺が5割り増しくらいかっこいい? こいつの目は大丈夫だろうか? それより5割り増しって言われてもそれって元々はどれくらいなんだ?? 「ハッ! だからって調子に乗って浮気なんてしちゃダメなんだからね!!」 「はいはい、そんなん出来ないよ」 と俺みたいなのは他に女なんて縁がないと思っていたある日のこと。 「あ、一条君にお客さんだよ」 「お客さんっていうかなんで俺が取材されなきゃなんないんだよ……」 「まぁ企画一条君も考えたでしょ?」 「そりゃそうだけど」 「顔は出ないんだし新聞の隅っこに小さく載るだけなんだからいいじゃない?」 「だったらわざわざ俺じゃなくても」 「いいからいいから。 もう記者の人来たんだから行ってきなよ」 まったく面倒臭いなぁと思いつつ俺は客間に行った、するとそこには俺のよく知った顔があって一瞬硬直した。 「し…… 白城?!」 「え……?」 俺はこの女性があの白城だということにすぐに気付いたが白城は俺を見てどうして自分を知っているのかと少し考えていた。 「もしかして…… 君は一条君?」 「あ、ああ……」
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