妖魔のいる世界

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いつ母親は殺されたのか。いつ身体を乗っ取られたのか。 俺は妖魔を何度……母さんと、呼んだのか。 ただアレを斬るには、母親を斬らなければいけない。中身はもう違う。母親は死んだ。妖魔が母親のふりをして生きている。 そう頭では分かっても身体は動かない。 見た目が母さんだから。 傷つけられない。 そして俺は、ちょうど村の近くにいたアービターに助けてもらった。 あの時アービターが居なけりゃ、俺はきっと、あの妖魔に生かされながら、食糧として飼い慣らされていたんだろうな。 嫌な記憶だ。 下等種と呼ばれる妖魔は、バケモノの見た目だ。 誰が見てもバケモノだと思う見た目。人間の身体を乗っ取るほど強くない。 さっき都に現れたのも下等種。まぁサイズ感は大きかったから、悪さを重ねてきた妖魔だろうな。 そんな妖魔の中でも1番力を持つ、妖魔王がいる。妖魔王が居る限り、妖魔の数は減らない。だからアービターはその妖魔王を探している。 ただ勝てるのかな?とも思う。いくら弱点を学んだところで、あんなバケモノに敵う人なんているのかな。 妖魔王なんて……誰が倒せると言うのか。 「藍斗?宿に着いたよ。今日はもう休もうよ。やる事は明日すればいい」 亜子の声で我に帰り宿の中に入る。 都は凄いな。俺たちみたいな金のないガキでも、ちゃんと宿に泊まれる。環境が整っている。 明日アービターの本部にいって、仮入団希望手続きを済ませなきゃ。 くよくよしても仕方がない。動かなければ何も始まらないから。 -------
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