序章

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序章

『 俺を殺してみろ。復讐に燃えろ。憎いだろ? 一人ずつお前の前で殺してやった。さぁ……生きて…俺を殺せるほど強い人間になれ!! 俺を楽しませてくれ!! 』 そう言って村から邪悪な妖魔の気配は消えた。 村で生き残ったのは一人の少女。 生き残ったのではない。 わざと、一人だけ生かされたのだ。 でもその小さな命も 今、消え行こうとしている。 何でもいい。あいつを葬れる力が欲しい。 望み通り殺してやる。 そんな少女の心とは裏腹に、血がたくさん流れて、身体は限界が近づいていた。 悔しい 悔しい 悔しい! そんな時、何処からか声がした。 生温い空気が少女を包む。 『力が欲しいか?小娘』 欲しい 『生きたいか?』 生きたい 『それなら俺を受け入れろ。俺も生憎、まだ死ぬつもりはなくてな』 受け入れる? 何を? 声のする方。 ギラギラと(たぎ)る目をした、血だらけの妖魔が隣にいる。 『 俺はあいつを殺したいんだよ 』 「 私は…あいつを殺したい 」 人間と妖魔の復讐の相手が重なり、二人の利害が一致した。 「 身体ならくれてやる。だから…お前の力を寄越せ 」 自らの身体を対価に、妖魔と契約をする。 妖魔に左腕を噛ませて 辛うじて動いた首を傾けて 地面に広がる妖魔の血を飲む 死にゆく間際… 二人の依存関係と復讐が始まった。 ----- ---
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