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「小春…君は…よく勝ってくれた」 「……お前のためではないけどな。私だけではない。みんなが……妖畏に勝ってくれたんだ」 スッと刀を構える。 隣の凛も焦ったように私と紫苑を交互に見る。紫苑はそうなることが分かっていたのか笑ってこっちにきた。 「まぁそうだよね。でも僕だけで我慢してくれないかな?アービターのメンバーってアフラレイルのこと分かってない人しか居ないんだよ。ただ妖魔を倒したいって人が集まってるんだ。僕だけ全ての事情を知っててアービターの運営をしていた。だから……斬るなら僕だけ」 僕の首だけじゃ足りない?そう紫苑は聞いてきた。 「別にお前は斬らない。むしろお前には生きててもらわなきゃ困る。今後アービターはどうするんだ?残った妖魔を斬ってくれるのか?」 紫苑は私に殺される気満々だったのか驚いた顔をした。え?と戸惑っている。 「妖畏を殺すっていう目的は達成したろ?お前たちは今後どうする?」 「……アフラレイルに帰って妖畏が死んだことを伝えるよ。アービターは解散になるだろうけど…でも残党を処理するまではちゃんと残すよ」 「そうか。なら、少しアルフをあけても大丈夫だな。私をアフラレイルに連れて行ってくれ」 「……え?」 「お前たちの目的は私が果たしてやったろ?でも私の目的はまだ果たされていない。妖畏に復讐するだけが私の目的ではないから。私はこの狂った世界を終わらせるために最後まで戦うから」 妖蛭には怒られてしまいそうだけどここで終わってしまってはいけない。 「妖魔の研究全てをやめさせる。抵抗するなら殺す。お前たちもまたこんなことを繰り返すのは嫌だろう?お前たちが技術をもって作り上げた対妖魔施設にいた奴らは、妖畏の足元にも及ばない。 ただ妖畏を殺したいと願った私だけが……あいつを殺すことができた。この先私が死ねばお前たちの愚かな実験を止めてくれる人はいない。今ここで…私をアフラレイルに連れて行くと誓え。じゃなきゃ……アービターのやつを殺す。全員だ」 私は本気だともう一度そういえば紫苑は困った顔をした。 「アービターの人が減れば妖魔の被害は増えるよ」 「そうかな?元々お前たちは都付近しか守らなかっただろ?私が居なくなる方が被害が増えると思わないか?」 「……まぁ、ね」 少ししてようやく紫苑は頷いた。 頷かざるを得なかったのだろう。 藍斗が動けるくらいになるまで待ち、私は藍斗と凛と夜虎を連れて、紫苑とアフラレイルへ向かった。 妖蛭の故郷に。
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