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妖魔の雄叫び
怯むはずなのに今はこの目の前の妖魔を倒したくて仕方がない。
斬るこの感覚を忘れたくない。
凛が刀に近づく。
今だ!
あの時のイメージ
あの兎の面の…あの人の刀の軌道をイメージしろ。妖魔の首はどんな角度で切り落とされていた?
あんなに綺麗に切れる角度は?
あれを思い出せ
凛に注意が向く前に刀を放り投げた。妖魔の頭に向かって。
初めてやるのに軌道は我ながら綺麗だった。だけど妖魔の首を切り落とすパワーとスピードがなく、妖魔の首に傷をつけるだけで終わった。
でも完全に俺をロックオンした妖魔。凛から視線を外すことに成功したけど……
避けれない……
「「藍斗、よくやった」」
凛は刀を小春に言われた通り回転させた。
小春は俺に振り下ろされる妖魔の腕を、走り込んで来て刀で受け止めてくれた。
妖魔の気が完全に俺に向いている。
すげぇ気持ちいい。
「終わりや!」
凛は刀を下に押し込むように力を入れた。
小春の言う通り、妖魔の脚を裂き、妖魔は膝をついた。
立ってられなくなって筋肉が緩んだのか、凛は刀を引き抜き、倒れ込んだ妖魔の頭に、躊躇いもなく刀を振り下ろす。
きっと赤黒い血飛沫があがるだろうな。
仮想だから見れないど。
妖魔の頭に刺さる刀
倒したと思ったのに、妖魔の呻き声は止まらない。
凛も苦しそうな顔で力を入れているが、これ以上無理だと思ったのか、刀を再び放して離れようとする。
だけど俺には小春の姿が見えていた。
凛の苦しそうな顔
倒れ込む妖魔の上にヒョイっと飛び乗る小春。
凛が刀から離れるその前に
小春が妖魔の頭に突き刺さる凛の刀を、クイッと足で踏んで押し込んだ。
見ていてもわかるくらいグッと力が入り、凛の刀は妖魔の頭を一刀両断した。
ブーーーンという機械音と共に、目の前の仮想妖魔が姿を消した。
ま、じかよ
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