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「た、倒したんか?」
「藍斗は瀕死だけどね」
涼しい顔をした小春はそう笑った。
ドキッとした。
小春のスーツは赤くなっているが致命傷じゃないんだろうな。赤く斑点になっているだけ。
容赦のない小春の行動にワクワクさせられた。
「お前、やるやん!あんなビビってたのに!二重人格か?それとも戦闘だけスイッチ入るんか?」
凛は小春を、たかいたかいでもするかの様に、脇に手を突っ込んでクルクルと一緒に回っている。
小春はポーカーフェイスなのに少し表情が崩れて、離して!と凛の顔を蹴ろうとしている。
いやいや、怪我するぞ?せっかく倒せたのに。でもすごい。何だこの感覚は…
「あんた達倒しちゃうとはね。びっくりしてフリーズしたわよ」
鳴海教官は歩いてきてお疲れ様と声をかけてくれた。体がヘトヘトだ。常に気を張って動いていた。もしこれで、痛みも伴うのなら、俺は序盤で戦力外通告されてただろうな。
わいわい盛り上がる中、小春はスーツを脱いでトイレだといい少し席を外した。
俺たちはこの2戦闘の映像を振り返れるらしい。
すごいよな。どんな動きだったか見れるんだぞ?かっこ悪かったら嫌だな。
「藍斗!お前ら最高やわ!」
「わぁ。凛が果敢に挑んでくれたおかげだよ」
「あとは小春!あいつ多分やけど知識なんか、実際自分もできるんか知らんけど、技術やばいわ!」
興奮冷めやらぬ凛に肩をバシバシと叩かれている。
たしかに…
動きは目を奪われるほどしなやか。
なのに、刀を振るうと、その辺の一般の人よりも不恰好になる小春。
小春自身も納得のいかないような顔をしているけど、最後、妖魔の手から俺を守ってくれた時、小春は
とても綺麗な構えをしていた。
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