妖魔のいる世界

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俺は亜子と奏多を守るためにアービターに入る。俺にとっては二人が家族だから。二人を守れるのは俺しかいない。 もうあんな風に、目の前で大切な人が喰われるところは見たくない。 川沿いを歩く。 少し人気の無いところに来てしまった。 ここ最近、妖魔はあまり人の前に姿を現さない。理由はアービターだ。 アービターの入団条件っていうのがあって、その入団条件は【強き者】【力を証明できる者】この二つを兼ね備えた人のみ、入団できるんだ。 過去には色々な力の見せ方があったと言う。父さんの時は、剣技で決まったらしい。 各地域の強者がこの春に都に集まる。 そうやって、アービターは力のある者達で結成され、世界のために動いていた。 そして一年前に、ある二人組がアービターに入団した。それ以降、弱い妖魔は確実に数が減った。その二人組が強すぎたから。 しかし…その二人組の噂について、良くないものがある。 ある日突然現れたその二人組は、元々いたアービターの、歴史上一番強いとされていた、当時の団長を入団試験で殺したのだ。 これが力の証明だと。 入団試験の条件の、強き者、力を証明できる者、この二つを最強の団長を殺すという事で証明した。 血だらけの刀を振るったという。 この話が本当か嘘かは分からない。 だが、その二人組がアービターに入ってからというもの、妖魔は目に見えて減った。強いことには変わりない。 各地で襲われる人も減り、俺たちもこの都に辿り着けた。俺もアービターに入りたい。みんなを守れる強き者になるんだ。 去年とは違い、今年は訓練制度が設けられて、まだ実戦もしていない俺でもやる気と気合があれば、仮入団はできる。 とはいったもの… 入団条件の大雑把さに苦しめられていた。 「力を証明するって…いったいどうすりゃいいんだよ」
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