牴牾妖魔と噂

1/15
前へ
/455ページ
次へ

牴牾妖魔と噂

みんな妖魔との戦闘でそれなりに疲弊しているようで、鳴海はこのあとは自由時間だと言った。明日は6人で3体の仮想妖魔と戦うらしい。 「小春に怒られたから、妖魔のレベルは下げておくわね。その代わり、3体よ」 ……練習にはなるだろうが、勝てない相手に挑み続けることは、強くなる秘訣ではないからな。  胡散臭い鳴海は手を振ってその場を去った。 まずは斬ることの快感を覚えなきゃ… 誰も強くはなれない。 その面で言えば、凛はその快感を知っている。藍斗は、頭の中にイメージでもあるのか、斬る快感に貪欲だと思う。 他は、明日同じ場で妖魔と向き合うなら、見ることができる。 誰かの心配をしている訳ではない。 ここから数人、同じように正団員になりたいだけだ。仲間意識なんかじゃない。 入団したら3人1チームを組まなければいけない。使えそうな2人をそばに置くことも大事。好奇心旺盛で頭がキレて……妖魔と人間ではなくもっと大きな規模で考えられる2人が欲しい。 せっかく10日間もあるんだ。 普通ならそれなりに絆は芽生えるよ。 普通ならな。 「よっしゃ!小春、後で俺たちの動きも見てくれよ!ここの施設のものなら何使ってもいいらしいからさ!」 風太か。 柄にもなくみんなの名を覚えた。 「俺も〜!俺たち出血死組をなんとかして〜」 椎名は暁月を引っ張って歩いている。 まぁ確かに……出血死組だな。 ふふ、ダサいな。 ひとまずは休憩をすることになった。 ご飯の時間だ。 憂鬱だと思ったが、なんとなく同じように食べたい気持ちがでてきたから、少しずつ食べた。 「小食やのに、よう動けるな」 「貧しい生活をしていたから慣れてる」
/455ページ

最初のコメントを投稿しよう!

97人が本棚に入れています
本棚に追加