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牴牾妖魔と噂
みんな妖魔との戦闘でそれなりに疲弊しているようで、鳴海はこのあとは自由時間だと言った。明日は6人で3体の仮想妖魔と戦うらしい。
「小春に怒られたから、妖魔のレベルは下げておくわね。その代わり、3体よ」
……練習にはなるだろうが、勝てない相手に挑み続けることは、強くなる秘訣ではないからな。
胡散臭い鳴海は手を振ってその場を去った。
まずは斬ることの快感を覚えなきゃ…
誰も強くはなれない。
その面で言えば、凛はその快感を知っている。藍斗は、頭の中にイメージでもあるのか、斬る快感に貪欲だと思う。
他は、明日同じ場で妖魔と向き合うなら、見ることができる。
誰かの心配をしている訳ではない。
ここから数人、同じように正団員になりたいだけだ。仲間意識なんかじゃない。
入団したら3人1チームを組まなければいけない。使えそうな2人をそばに置くことも大事。好奇心旺盛で頭がキレて……妖魔と人間ではなくもっと大きな規模で考えられる2人が欲しい。
せっかく10日間もあるんだ。
普通ならそれなりに絆は芽生えるよ。
普通ならな。
「よっしゃ!小春、後で俺たちの動きも見てくれよ!ここの施設のものなら何使ってもいいらしいからさ!」
風太か。
柄にもなくみんなの名を覚えた。
「俺も〜!俺たち出血死組をなんとかして〜」
椎名は暁月を引っ張って歩いている。
まぁ確かに……出血死組だな。
ふふ、ダサいな。
ひとまずは休憩をすることになった。
ご飯の時間だ。
憂鬱だと思ったが、なんとなく同じように食べたい気持ちがでてきたから、少しずつ食べた。
「小食やのに、よう動けるな」
「貧しい生活をしていたから慣れてる」
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