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「小春ちゃん、素はそっち?」
「……そうだ」
なるほどね!と椎名は何故か嬉しそうな顔をしている。逆だろう。こんな男みたいな話し方をされたら嫌だろうに。
「女の子は素が1番可愛いよ!」
「………はあ」
何その反応!と椎名は笑っている。他にどう反応すればいい?
こうやって話すこともないから、どうやって話したら良いのかも分からない。
「小春、フルーツいる?」
「え、あぁ。いただくよ」
両隣の藍斗と凛がフルーツをくれる。その代わりに他の飯をあげる。餌付けされている気分だが、まぁこうやって誰かと食べるのなら…少しくらいなら食べれる。
みんな各々鍛えているんだな。
食事をしながら全員の身体を見る。実戦してきた凛の身体が1番出来上がってるが、他も負けずとも劣らず。
『お前、こいつらを鍛えてやるつもりか?』
うるさいな。
お前の声に反応したら、私の声はみんなに聞こえるんだから、不審に思われるだろう。話しかけないで欲しい。
『あの小僧の時みたいに、一から剣技を教えてやるつもりかと聞いている』
夜虎のことか。
今みんなのいる状況で答えられないくせに質問をするなよ。
という私の悪態もコイツには伝わるんだ。
だから、声を出さずともそれなりに伝わる。
『放っておけば良い。入団して残り2人を見つければいいだろう』
うるさいな
『まぁお前は人のことは見捨てられないからな。何処にいてもどんな状況でも、お前は必ず人を助けようとする』
……そんなこともない。
人間と妖魔。勿論妖魔が憎い。だけど、人間側に立って妖魔をどうにかしたい訳じゃ無い。
ただあの妖魔を…妖畏だけは、自分の手で殺したいだけだ。
でも…
「誰かが目の前で死ぬのはごめんだよ」
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