25人が本棚に入れています
本棚に追加
開けっ放しのカーテンから、室内にたっぷりと陽光が注がれている。ゴミだらけの床。室内の中央、光の中にぶら下がる身体。床から離れて揺れる足先。
ひっ、と自分の喉が鳴る音で友一郎は目覚めた。辺りはまだ真っ暗だ。時計を確認するまでもなく、深夜だとわかる。
大翔の死にざまを、友一郎は直接見たわけではない。まわりまわって伝え聞いた噂話が、なぜか脳裡に克明な像をむすび、夜ごと夢に見るうちに、まるで現実のような確かな感触をそなえていった。
友一郎は寝返りを打ち、自らの腕を枕にして横をむいた。友一郎は長らく大翔の親友を自負していた。今となってはお笑い種だ。東京で、友一郎は大翔の部屋に片道三十分ほどで行ける距離に住んでいた。だが、大翔の死を彼に報せたのは、実家の祖父だった。それも仕方のないことだった。なにしろここ数年ばかり、友一郎はまともに大翔と顔を合わせていなかった。
最初のコメントを投稿しよう!